国際交流プログラム

吉野彩夏(2021年度参加)

 

参加を決めた理由

日加学生会議は、カナダと日本両国から学生が集まり、グループワークを通してお互いの国への理解を高める学生交流のイベントです。実は私はこのイベントに去年も参加していました。コロナウイルスの影響で初の全日程オンライン開催でしたが、そんなコロナウイルスが私たち学生にどんな影響を与えたのかをカナダの学生と議論し、発表しました。今年度の日加学生会議の募集要項がメールで送られて、テーマを見た瞬間に再度参加することを決意しました。そのテーマが、「アジア・インド太平洋地域における日本とカナダの安全保障協力」だったからです。私は国際政治学科の学生として安全保障に関する授業を履修したことがあり、さらに所属しているゼミではアジア地域における国際情勢や米中関係を学んでいました。昨年は英語力を伸ばしたい、カナダの学生と話してみたいという単純な理由で参加を決めましたが、今年は学術的な好奇心から、カナダの学生とこのテーマについて議論してみたいという思いで参加を決意しました。

事前学習

昨年参加したこともあり、この学生会議がどのように進んでいくかが大体わかっていたので、事前に送られてきた参考資料を計画的に読み進めることができました。応募する際に書いたエッセイでも触れたのですが、私は安全保障や防衛の面でカナダの名前をほとんど見聞きしたことがないことが気になっていました。日本の安全保障の中心はアメリカとの同盟にありますが、カナダはどのようにして自国の安全を守っているのか、アジア太平洋地域の安全保障にどのように関わっているのか疑問に思いました。文献を読んでいく中で、カナダはA P E Cの創設メンバーであり、地域安全保障の枠組み作りに貢献していることや、日本との協力関係があることなど新たな知識を得ました。フォーラム開催前から本フォーラムに参加する学生のグループがFacebookでできており、そこで自己紹介などをして実際にフォーラムで話すことを楽しみにしていました。

日加学生会議開幕

グループワーク

初日の開会式からすぐ翌日には、グループワークが始まりました。私のグループは私の他に3人いて、それぞれ専攻が違いましたが、カナダ側で参加している女の子が日本人だったことや、ケベック州出身のカナダ人の男の子が日本語を学んでいることなどの偶然が重なって話が盛り上がり、すぐに打ち解けることができました。グループワークの初日に、安全保障や国際公共政策を専攻にしているカナダの大学院生と話せる時間があったので、事前学習の時から疑問に思っていたカナダのインド太平洋地域における立ち位置について質問してみると、カナダは”peace keeping”として平和を維持する役目を果たしているという回答が返ってきました。アジアに所属し、周辺諸国と密接な関係にある日本とは少し違った役割があるのだということを学びました。私たちのグループでは、プレゼンのテーマを「台湾危機」に決め、台湾と中国の歴史的な関係や、現在様々な専門家が考えている台湾危機のシミュレーションを踏まえ、日本とカナダはどのように台湾の安全保障に貢献できるかについて議論を進めていきました。全1週間の日程の中で、グループワークができるのは5日ほどとかなり時間が限られていることに加え、約14時間の時差があるため、少ない時間でプレゼンテーションを仕上げる必要がありました。テーマを大きく4つのパートに分けてリサーチを分担し、毎日日本時間の9時から2時間ほどzoomを用いて進捗を報告しあうことで効率的に作業を進めることができました。

発表

発表当日は、フォーラムに参加している学生に加え、審査員の方々も交えてかなりの大人数の中行われ、オンラインとはいえども緊張感がありました。審査員からの質問の時間もあり鋭い質問が飛んできましたが、全体として練習通りに発表を終えることができたのでよかったと思っています。

フォーラムを終えて

 日本で勉強していては中々海外の学生と議論する機会はありませんが、今回このフォーラムに参加して、自分の関心のあるテーマについて違った視点からの考え方を学ぶ一方で、日本と似ている点を発見するなど非常に刺激的で良い経験ができました。「カナダの安全保障」という今までの学びの中で扱ってこなかったテーマだったので、今後の学習の中で応用させて、もっと深く学んでみたいと思いました。特に本フォーラムが開催されたのはロシアがウクライナに侵攻を始めた時期であり、今回のテーマは非常にタイムリーなものでした。当たり前の日常も国際政治の情勢や安全保障と密接に関わっていることを改めて実感し、安全保障について学ぶ意義を再確認できました。また、本来であればカナダの学生と同じ空間で過ごして議論したりグループワークを進めたりしたかったのですが、オンラインであっても充実した議論ができたことがうれしかったです。こうした機会を逃さずに積極的に挑戦することで自分の成長の糧になると思います。今回の参加でよりカナダに興味が湧き、政治だけでなく文化など別の側面も知りたいと思ったので、コロナが終息したらカナダに行ってみたいと思っています。最後にはなりますが、本フォーラムの開催にあたって携わった全ての方に感謝をしたいです。ありがとうございました。