体験インタビュー

卒業生メッセージ 古川 光明
留学で出会った「国際協力」というテーマ
海外で鍛えた「行動力」で道を切り拓いた
独立行政法人 国際協力機構 JICA研究所 上席研究員
古川 光明
1986年度 経済学部経済学科 卒業

英語で議論するスキルが現場で武器になった

国際協力機構(JICA)の一機関であるJICA研究所で、国際的な援助活動のあり方を研究する仕事をしています。
例えば、日本が資金援助を行っている開発途上国の現場を訪れ、援助の実態を把握するためのヒアリングや情報収集などを行い、援助のやり方が本当に効果的なのかどうか分析します。JICA研究所に勤務する前は、JICAの職員として、開発援助の現場で働いてきました。タンザニア、モザンビーク、アルバニア、アフガニスタンなど紛争や鎖国政策が明けたばかりの混沌とした現場も経験しました。
最も印象に残っているのは、90年代後半に3年半もの間、駐在したタンザニアでの仕事。そこで、私はタンザニアにとって重要セクターである農業分野において、支援国同士で援助のあり方を議論し、コンセプトを融合する調整を任されたのです。
欧米の人々と議論する際は、自分の意見をはっきりと主張する必要があります。私は学生時代の留学先で議論を重ねた経験があったので、落ち着いて対応することができました。このときは、留学経験が本当に役立ちましたね。

留学先の出会いで国際協力に興味を持った

私は、法政大学経済学部在学中に1年間の派遣留学を経験しました。留学先はアメリカのノース・イースト・ミズーリ州立大学(現トルーマン州立大学)。80年代の終わりだった当時、まだまだ留学生が少なく、キャンパスに日本人はもちろん、アジア系の学生もちらほらと見かける程度でした。この留学中にバングラデシュ出身の友達ができたのが、国際協力に興味を持ったきっかけになりました。「生まれた国によって、生活環境が大きく変わる」という既知の事実を、目の前のリアルな問題として意識するようになったのです。日本人として開発途上国のために何かできることはないかと考え始めたのはこのときでした。
卒業後、私は日本の大手ゼネコンに就職し、海外のインフラ整備の仕事に携わる道を模索しました。しかし、大企業で個人の理想ばかり追うことはできません。そこで、一念発起して、JICAの門を叩いたのです。当時、JICAで中途採用は行っていませんでしたが、総裁宛に「国際協力に新卒も中途も関係ない」と直筆の手紙を書き、門戸をこじ開けました。こういう積極性は留学前の自分にはなかったものかもしれません。
この仕事のやりがいは、なんといっても開発途上国の人々に喜んでもらえること。それに尽きますね。相手のために情熱をもって取り組めば、しっかり評価につながる幸せな仕事だと思います。

全人格をかけて自分の意見を主張した

留学先で身についたのは「行動しなければ、何も始まらない」という感覚です。そして、異文化の中で全人格をかけて自分の意見を主張し、まわりから認めてもらうという経験を通じて、「人間力」が確実に鍛えられました。
法政大学は自由な学風で留学制度も整っています。ぜひ、在学中に「自らチャレンジして、世界を広げる経験」をしてほしいですね。それは将来のあらゆる仕事につながる力になることでしょう。