国際交流プログラム

関口宗哉 (2020年度参加)

2021年の2月、私は「日本・カナダ学生フォーラム」という日本人学生とカナダ人学生がある一つのテーマについて語り合うという討論会に参加した。この討論会は10年以上の歴史を持つイベントで、様々な大学の学生が毎年参加している。例年、対面形式で行われる「日本・カナダ学生フォーラム」が、今年は異例のオンライン開催となったことで、学生たちの団結を困難にしたという事実は否めない。しかし、そんな限られた状況の中でも我々はグループチャットなどを駆使し、交友を深めた。特に私が驚かされたのはカナダ人学生のリーダーシップだ。グループ活動ゆえ、それぞれのグループの誰かがリーダー的存在となるのは自明の理であるが、フォーラムに参加する全学生をまとめる存在となると話は違ってくる。幸いにも、フォーラムに何度か参加経験のあるディランという学生が交流できる機会を積極的に作り、その役を担った。ディランのリーダシップを目の当たりにし、人を率いる真のリーダー像というものを目撃できた気がする。彼がいなければ今年のフォーラムは与えられたテーマについて淡々と話し合うといった味気ないイベントとなっていただろう。

今年のテーマは「コロナ後の新日常」というものだった。フォーラム側から事前に送られてきた膨大な資料やフォーラム期間中に行われた講義の内容を基に各グループが優勝を目指し、最終日にはテーマに関連したプレゼンテーションを10分間行った。グループは日本人学生二人、カナダ人学生二人といった配分で構成されている。私のグループはコロナの影響で入学してから数回しか大学に通えていない日本人学生、コロナ禍直前まで日本に留学していたカナダ人学生、そしてインドからカナダに留学中の学生という非常にユニークな面々が集まった。我々は「コロナが学生に与えた影響」に着目し、各々が自身の経験に基づいた視点からプレゼンを4パートに分割、私は「日本とカナダにおけるコロナが学生に与えた影響の差異」を担当した。例えば、コロナ禍前と後で学校の在り方がどのように変化したのか、またコロナ禍中にどれほどの学生が自主退学を余儀なくされたのかなどである。調査を進めるにつれて、コロナにより教育の機会を奪われた学生の数は凄まじさが浮き彫りとなり、その数の多さに言葉を失った。かく言う私もコロナの影響で予定していた留学が中止となり、教育の機会を奪われた一人である。しかし、発表した数字には私のような学生は含まれていない。

私自身の境遇、また他の学生の講義に対する姿勢、フォーラムへの参加はこれまでの私の勉強に対する怠惰な姿勢を改める良い機会となった。あれから2ヶ月、大学は徐々に再開しつつあるものの、未だ学生の期待に応えられるような状態には程遠い。いつまで不自由なまま授業を受けなければならないのか、そしていつになったら留学はできるのか。教育の機会とは希望する者全てに与えられるべきであり、蔑ろにされるべきものではない。優勝こそできなかった我々のグループであるが、それぞれ異なる境遇を持つメンバーが同じ志の下で協力して何か一つのことをやり遂げることができたという事実は私の誇りである。決して楽な道のりではなかったが、フォーラムに参加したことで本来ならば会うことはずなかった人間に出会い、様々な価値観に触れることができた。もし自身の英語力や忙しさを理由にフォーラムへの参加を迷う者がいるならば、是非とも臆さずに挑戦してもらいたい。そのような不安に勝る貴重な経験が得られる機会となるはずである。

グループプレゼンスライド表紙