体験インタビュー

卒業生メッセージ 髙野 茜
国際協力インターンシップで学んだことは
「知ること」がスタートラインだということ
NHK(日本放送協会)福島放送局 記者
髙野 茜
2018年度 社会学部社会政策科学科 卒業

現在の仕事

NHK福島放送局の記者をしています。現在は警察担当として福島県内の事件、事故、裁判などの取材を中心に行っています。借金や介護疲れが原因の事件など、取材を通して「社会の歪みが事件や事故を起こしている」と感じることが多くあります。事件や事故を報道することで、再発の防止に少しでも役に立てればという気持ちで日々仕事をしています。

フィリピン国際協力インターンシップ

高校生の頃から社会問題や国際問題に関心がありました。社会問題を学び、その解決に貢献できる人になりたいと社会学部を受験しました。在学中にいろいろな国に行き、どのような問題があるのか学びたいと思っていた私は1年生の時、フィリピンでの国際協力インターンシップに応募しました。そこで学んだことは「知ること」がスタートラインだということです。フィリピンでは農家の生計を向上させるプロジェクトを通して「国際協力の支援側と被支援側の衝突」について調査しました。

例えば、効率よく農業を行うため農機を導入するプロジェクトによって現地の人の雇用が奪われてしまい、支援側と被支援側の一部で対立が生じるという事例がありました。すぐに解決できるような問題ではありませんが、支援側と被支援側の双方の意見を述べる場を設けることができました。その結果、定期的に意見交換をし、相互理解を深めることで互いに納得のいく解決策を模索していくという認識を共有することができました。この経験から、「知る」ことが全ての始まりだと強く思いました。支援によってどのような問題が生じるのか、それを支援側、被支援側はそれぞれどう感じるのか、理解を深めることが意識、行動に変化をもたらし、それが社会の変化へ少しずつつながっていくのだと感じました。

伝えることで社会を変える

まだ記者になってから1年しか経っておらず、大きく社会を変える報道ができた経験はありません。しかし、ひき逃げ事件で父親を亡くしたご遺族を取材したとき「伝えたいことは1つだけ。お父さんを返してほしい」と泣きながら取材に応じてくれた事がありました。その放送を見た警察から「放送、見ました。ご遺族の無念を晴らすため全容解明、再発防止に努めます」という言葉を頂きました。「伝える」ことで誰かの気持ち、意識を変え、課題解決のためのアクションを後押しする仕事に就きたいと気づけたのはフィリピンでの経験があったからです。何が問題なのか、どうすれば解決に近づけるのか、考え続け、問い続けることがいまの仕事なのだと思います。これからも大学で得た経験を生かし、問題意識を高く持ち、伝えることで社会を少しでもよい方向に変えられる記者を目指して日々成長したいと思っています。

多くの出会いと多様性

国際協力インターンシップへの参加以外にも、カナダ・トロントへの短期留学、留学生に日本語を教えるボランティアへの参加、「法政グローバルデイ」という国際系のイベントの実行委員など、さまざまなプログラムを経験させて頂きました。また、「国際社会コース」を選択して履修し、国連の活動を通して平和構築、人権問題などを研究するゼミに入りました。国際系の活動を続ける中で国内外問わず多くの人との出会いがありました。日本語を教えた台湾の友人、アフリカでインターンシップをしていた友人、海外の大学院に進学する友人、カナダのホストファミリーなど、出会った人とは今も連絡を取り合っています。多くの人の価値観に触れることで多様性の大切さを学びました。人と接するときに自分の意見や主張を押しつけず、「なぜこの人はこのように考えるのか?」など背景まで考えられるようになりました。これは人と話す機会が多い今の仕事でも役に立っています。

在学生、高校生へメッセージ

大学には学生の挑戦を応援するプログラムが充実しています。チャンスは目の前にあります。ぜひ積極的に情報を集め、チャンスを生かしてほしいです。どんな大学生活を送るかは自分次第です。応援しています。