国際交流プログラム

富岡雄介(2021年度参加)

2021年度の日本・カナダ学生フォーラムは、昨年度に引き続きオンライン上での開催となりました。日本とカナダから14の大学、21名の学生が集まり、今回のフォーラムテーマである “Japan-Canada Peace and Security Cooperation in the Asia / Indo – Pacific.” に取り組みました。

フォーラムに向けた事前準備

開催に先駆け、数週間ほど前に、テーマに関連した資料・文献の配布、講師陣によるレクチャー動画の配信がありました。これら事前課題への取り組みは、フォーラムで必要な基礎知識を蓄えるステップであり、必要不可欠なものでした。かなりの量ありましたが、後から見直した時に分かりやすいよう重要な箇所にマーカーで線を引き、複数の資料に重複しているワードやセンテンスはノートにまとめる等の工夫をし、フォーラム本番で活かせるよう心掛けました。

遂に開催!

初日はオリエンテーションと特別講師による講義、2日目から6日目にかけてグループワーク、7日目にプレゼン発表という日程で開催されました。3日目には講師陣とのQAセッションもあり、グループワークが行えるのは実質4日間。限られた時間の中で、テーマに対応したプレゼンを作り上げます。

 ●グループワーク
私のグループは毎朝9時からオンライン上で2時間程話し合いをしました。ミ―ティングの終わりには、明日も朝9時から”as usual”と言って解散していました。とはいえ、チャット上では一日中やり取りしていて、時差が14時間あるので、24時間フルタイムで作業が進行していました。Google SlideGoogle Documentでお互いの作業を共有していたのですが、毎朝起きて進度を確認する度、自分が寝ている間のカナダの学生の頑張りに驚かされ、それに負けじと作業に取り組んでいました。

 ミーティングの時間は、一緒に作業をするというよりも、悩みを解消したり全体の方向性を整えたりするための時間として利用していました。この点は、対面開催と異なる部分だと思います。私にとっては、毎朝のミーティングが、自分の進捗状況や意見を伝えるための小さなプレゼンでした。

 ●プレゼンに関して
私たちのグループはASEAN諸国への支援と協力をプレゼンのメインテーマにしました。大国の影響によって揺れ動く東南アジア情勢は、ASEAN諸国の更なる自立、リーダーシップの発揮によって安定化すると考えたからです。さらにはASEAN諸国の国家基盤を強固にすることを目的にしたうえで、持続可能性、環境問題、人権等に着目しました。他のグループと比較してかなりユニークな観点でしたが、今回のフォーラムテーマは様々なアプローチが可能であり、そこが面白い点だったと思います。

私の担当は、なぜ日本とカナダなのか?ASEANと協力する必要性は?そもそもASEAN諸国は支援を求めているのか?といったプレゼンの前提かつ軸となる考えの説明でした。他のメンバーが作成したピースを組み合わせ、一枚のイメージを完成させるような役回りでもありました。作業自体は個別で進めるオンライン開催においては、より重要度の高い仕事でした。

    発表スライド画面

 

フォーラム後

今年は恒例の観光をすることができなかったため、フォーラム後に日にちを設定し、有志によるオンラインでの集いとなりました。グループの枠を超えて全員で話せる機会がほとんどなかったため、お互いの国や文化をより深く知ることができる貴重な機会となりました。例えば、若者が使う流行語を教えあったり、興味ある日本文化について話すなど楽しいひと時を過ごすことができました。

経験と学び

プレゼン発表の結果、私たちのグループは最優秀賞を獲得しました。First Prizeを獲得できた要因は、メンバーの団結力と努力にあったと思います。首尾一貫したプレゼン内容にするために、そのスライドは除くべきではないか?いや、この論点は必要だと思う!など、率直な意見を交わし合いました。そうした意見を素直に受け入れられたのは、メンバー全員が課題と真剣に向き合っていることを、お互いに理解し合えていたからだと思います。たとえ隣で作業していなくても、作業の進度やミーティングを通じて、メンバーの頑張りは伝わってきました。

 フォーラムでの大きな学びは、意見をシェアすることの大切さです。実質4日間という限られた時間の中で、決して自分一人の力ではプレゼンまで辿り着けなかったと思います。一人一人が異なる視点、知識を持っており、大したことはないと感じる意見も、他の誰かにとってはブレークスルーになり得ます。もう一つの学びは、飛び込むことです。思い浮かんだ意見を英語で何と言えばいいのか、頭の中で文章を完成させた時には、意見を述べるタイミングは過ぎ去っていて、その機会は二度と巡ってきません。途中で詰まることを怖がらず会話に飛び込むことが肝心です。

出会い

講師陣とのQAセッションで時間内に収まらないほど質問をする学生の熱量、カナダの学生の社交性とオープンマインド、日本の学生が英語表現を絞り出しての自分の意見を伝えようとする姿などから多くの刺激を受けました。このような熱意のある学生たちと課題に取り組めたこと、友情を育めたことに感謝しています。フォーラムが終わった今でもカナダや福岡の学生と連絡を取り合っており、いつの日か対面で会えることを楽しみにしています。

最後に

フォーラム開催中にも世界情勢に大きな変化が生じ、不安定さが増している現在において、日本・カナダ学生フォーラム開催の意義は、一層高まっていると感じます。

最後になりますが、十数年の歴史と様々な方の思いが込められた今フォーラムに参加できたことを光栄に思います。フォーラムを主催して頂いた方、開催を支援して頂いた方、大学の国際交流課の方、全ての方々に心から感謝しております。ありがとうございました。