国際交流プログラム

吉野彩夏 (2020年度参加)

今年度の日加学生フォーラムには日本から12名、カナダから11名参加し、新型コロナウイルスの影響から全日程がオンラインで行われた。今年度は”Youth during and after the pandemic: a proposal for the new normal”をテーマに、チームでのグループワークやリサーチを行い、最終的にオンラインでプレゼンテーションを行った。

フォーラム参加前の事前課題

事前学習として、今回のフォーラムのテーマであるコロナウイルスに関する文献が送られてきたため、まずはそれらを読み進めることから始まった。コロナ禍における高等教育のあり方や日本のコロナ対応は適切であったかという議論、日本の学年暦(4月スタート)を変えるべきか否かなど私たちの身近にある“教育“とコロナとの関係についての文献を多く読んだ。この他にも興味のあるコロナに関するトピックなどは、自分で調べて文献を読んだりしていた。さらに、今回このフォーラムに参加してくださる教授陣の講義ビデオもオンラインで配信され、コロナだけでなく様々なテーマでの講義を聞くことを通して、現代の諸問題に対する考え方のエッセンスを学んだ。このような膨大な量の事前課題をオンライン上で一人でこなさなければならないということで少々孤独を感じていたが、カナダからの参加者の子がDiscordというコミュニケーションアプリを使ってみんなで話せるような場を作ってくれたことで、課題の進捗状況を話したり自己紹介を行ったりしてフォーラム開始前に繋がりを持てたことは大変心の支えになった。

初のオンライン日加学生フォーラム開幕!

課題をやっと終わらせた頃、フォーラム開催日を迎えた。初日は、日本とカナダからの全参加者が集合し、オリエンテーションが開催された。本イベントを主催してくださっているカナダの先生方が中心となって行われ、私たち参加者は全体で自己紹介を行い、その後Zoomのブレイクアウトセッション機能を使って少人数で会話をする時間があった。オンラインということもあり、初めはうまくいくか心配であったが、段々と打ち解けていき、最終的には会話を楽しむことができたのでよかった。

海を越えたオンラインでのグループワーク、そしてQAセッション

オリエンテーションの次の日から早速グループワークが始まりまった。4日間のグループワークで、一つのテーマについて調査をし、意見をまとめて最終的な結論を発表しなければならない。この4日間でグループワークを行うことは決められているものの、いつ・どのくらいの時間グループワークを行うかは各グループごとの裁量に任せられており、ここで私たちは時差に苦しむことになる。日本とカナダは時差が13時間ほどあるためグループワークの時間を調整するのが難しかったのだ。私はグループワークを円滑に行うために時差を考慮した作業時間を設定し、Zoomのリンクを用意したり積極的に作業を進めるための準備を行なっていたが、予定が合わないなど作業の時間を確保するまでに苦労したこともあった。例年の様に同じ場にいて行うグループワークとは違い、それぞれ違う場所にいてさらに時差もあるためみんなで足並みを揃えて活動することが難しかった。しかし、限られた時間の中でも活発に議論を行い、決めたテーマに関して意見を出し合ったりプレゼンの流れや問題に対する提案をみんなで考えることができたのでよかった。今回のテーマが、実際に私たちが直面している問題であるため、各自真剣に情報収集を行うなど熱意を持って活動できた。 さらにフォーラムの3日目には先程述べた講義ビデオに関してのQ&Aセッションが行われた。講義を提供してくださった教授陣をゲストに迎え、私たち学生が質問をするというものであったが、ここでカナダ人学生の勢いに大変圧倒された。話の内容が高度である上に次々話題が移り変わっていく議論についていくのが必死だったが、カナダの学生が積極的に自分の意見を話している様子がとても印象的であった。もちろん彼らは英語のネイティブであるが私たち日本人はそうではないためそこに違いはあるものの、それだけでなくカナダの学生の視野の広さや知識の深さ、多角的な思考から学ぶことは非常に多かった。このQ&Aセッションに参加したことは自分にとって良い経験となり、自身の新たな課題発見にもつながった。

フォーラム最終日を迎えて

約1週間のフォーラムはあっという間に最終日を迎えた。私たちのグループは、コロナ禍における海外の留学生を取り巻く問題とその解決方法を提案するという内容にまとめた。まず日本とカナダの事例を調べ、各国に滞在する留学生が直面している問題点を挙げた。さらに外国人留学生がその国に与えている影響、なぜ留学生を守るためのサポート体制が必要かというところにまで議論を発展させ、最終的な提案に結びつけることができた。全体のプレゼンテーションでは、どの班もコロナについて多様な切り口のテーマを掲げ、内容も非常に興味深かった。最後に審査員、ゲストからの講評を受け、フォーラムが閉幕となった。 今回のフォーラムに関して、初めはオンライン開催ということもあり、戸惑いやうまくいかないことも多かったが、結果としてグループで一つのプレゼンテーションを完成させることができ最終的には達成感を得ることができた。もちろん、先述のQ&Aセッションで議論に積極的に参加できずに悔しい思いをしたこともあったが、カナダ人学生の知識の多さや積極性に刺激を受け、自分の専門だけでなく社会に溢れる諸問題に対して、もっと真剣に向き合っていく必要性を改めて実感した。今までの海外と関わる経験では“ボランティア”という立場としてのものが多かった様に思う。しかし、一学生として海外の学生と真剣に議論し課題解決のための策を考えるという経験は、自分の普段の学習を客観的に見ることに繋がり、今後の学習のあり方を見直すきっかけにもなった。今は世界中が混乱の中におり、海外に自由に渡航することも許されていない状況ではあるが、こんな時代でも自分からチャンスを求めれば、海外の学生と学ぶことができる。今回実際にカナダに渡航できないことを非常に残念に感じていたが、オンラインでも海をこえて非常に充実した内容のプログラムに参加することができた。もし自分をもっと成長させたいと考えている人がいたらオンラインであっても積極的に参加して欲しいと思う。今後もこのプログラムで受けた刺激を忘れずに、日々の学習に励んでいきたい。 最後に、例年とは違う形式であったにもかかわらず充実したプログラムを開催してくださった主催者の方々、参加してくださった講師、審査員の方々、そして本プログラム参加にあたりサポートしてくださった法政大学グローバル教育センターの職員の方々に感謝を伝えたい。ありがとうございました!

グループプレゼンスライド表紙