体験インタビュー

卒業生メッセージ 青木 佐代子
能力と経験に加え、それらを組み合わせ
柔軟に対応する力が必要です
ユニセフ・ドミニカ共和国事務所 副代表
青木 佐代子
1993年度 法学部法律学科 卒業

ドミニカのユニセフで副代表として運営全般を担当

私の仕事は、ユニセフ・ドミニカ共和国事務所で副代表として事務所のビジョンに沿ってユニセフの「プログラム」と呼ばれる保健・教育・子どもの権利保護など専門分野を統括することです。組織としてのユニセフの優先事項とドミニカ共和国の状況や現実を鑑みて効率的なプログラムを作り、専門家をまとめて政府と協力関係の下に事業を運営していくのですが、予算確保や運用も含めNY本部やパナマにある地域事務所と連絡を取り合いながら仕事を進めます。ユニセフは180以上の国に事務所があり、疑問に思うことは世界中にいる元上司や同僚にメールや電話などで相談しています。管理職として、事務所のスタッフが能力を最大に発揮できる環境を作り維持するのも重要な任務の一つ。毎日がチャレンジの連続ですが、それが楽しみでもあります。

パッションを持てるテーマを選び、信念を持って行動

私は法政大学時代、奨学金留学制度を利用してアメリカのベイラー大学に留学しました。帰国後、これから何をすべきか考えていた時に開発教育の話を聞き、ボストン大学の大学院に進学したことが現在の道につながっています。教育修士号を取った後に、あるNGOで理論を実践する現地経験を積みましたが、いま振り返ってみると、NGO経験が先にあれば、修士号がより実りあるものになると思います。職場では専門分野において私より知識や経験が豊富な方がたくさんいますが、大切なのは経験や能力に加えて、持っている引き出しを組み合わせて柔軟に状況に対応する力だと思います。よく国連で働くには何を勉強したらいいのかという質問を受けますが、特にこれを学んでおけば有利ということではなく、自分が最もパッションを持てるテーマを選び、ぶれない姿勢と信念を持っていることが重要です。また国連では実務経験のない大学や大学院新卒は採用しません。インターナショナル・プロフェッショナルとして採用されるには、修士号と英語の他にもう一つ、国連公用語を使える必要もあります。今までのキャリアを積んでくる中で先住民問題や多言語教育、緊急援助などの経験、文章作成が得意なこと、スペイン語・フランス語などが役立っています。

自由と進歩の校風が、世界で通用する責任感を育ててくれた

法政大学のすばらしいところは、個性豊かに活躍する人を伸ばす、自由と進歩の校風です。市ケ谷という都心で地に足がついた学びができたこと、良いことも悪いことも自分の人生に責任を持つ姿勢が学べたこと、そして長い海外生活の第一歩となる留学経験ができたことが現在の私の原点でした。人生の基盤となるこの時期を法政ですごした経験が、自分の足で強く立ち歩いていく力を与えてくれたと感じています。