Impact Beyond Campus
留学したからある今
スポーツ健康学部・スポーツ健康学科 卒業
現在 / ポスドク研究員 ルンド大学 スウェーデン
奥山 健太



現在の仕事
世界では今、年間2億8千万人の人が国境を超えて移住しています。大きな数に思われるかもしれませんが、世界人口の割合で見ると約4%です。そのうち留学、就職、紛争や災害を逃れるためなど理由はさまざまです。私自身もこの数%に該当する移民として、現在はスウェーデンのルンド大学にて、「移民と精神疾患」の研究をしています。他の国に移住することは容易なことではありません。したがって移民はうつや不安症などにかかるリスクが高いと言われています。私は疫学者として、移民の精神疾患の原因はなにか、精神疾患のリスクを軽減するにはどのような政策が必要か、ビッグデータを解析し、論文を書く日々を送っています。
転機となった派遣留学
15年前に法政大学スポーツ健康学部に第1期生として入学した当初、今のようなキャリアを歩んでいるなど夢にも思っていませんでした。サークルとバイトという大学1年間を送った後、「このまま4年間終えてもなにも残らないのではないか」という焦燥感に駆られ、挑戦を決意した法政大学の派遣留学制度が転機でした。
4年次にアメリカ、テキサス州のベイラー大学に1年間派遣留学しました。学部ゼミの頃から生活習慣病に興味があり、教授に進められたテーマ「肥満と環境」について、実生活を通して学びました。キャンパスの中でも車で移動、同じ道路に立ち並ぶ数種類のファストフード店で昼も夜も食事という生活は、大きなカルチャーショックでした。しかし一番の衝撃は、大学生活スタイルの違いでした。試験や宿題が大量に出て、成績はAを目指すのが当たり前のカルチャー。そんな環境でもっと学びを続けたいと思った私は、法政大学が後援してくれる日本学生支援機構の海外大学院留学奨学金制度に挑戦することを決意しました。
海外大学院で習得したスキルで世界へ
無事に合格し、法政大学を卒業後、再度アメリカ、コロラド大学の疫学・修士課程に進学しました。引き続き肥満と環境というテーマを重点的に学びつつ、世界の健康格差問題に関する知識、統計学、データ解析のスキルなどを身に付けました。そして修士課程が終わる頃には、海外で研究者として働くということを目指していました。将来のキャリアに関して全く見当がつかなかった大学1年次から、キャリアの選択肢が全世界に広がった瞬間でした。
一度日本に戻り研究者として大学で働いた後、ご縁でスウェーデンのルンド大学に研究者として就職しました。そんなご縁に巡り合えたのも、法政大学から留学、海外大学院へ進学し、どこでも働けるスキルを身に着けていたからだと実感します。

留学からつながるキャリア
「留学」と聞くとなかなかハードルが高く感じる方が多いと思いますが、法政大学には様々なサポートプログラムが充実しています。そして一歩進んでみると自身の可能性が想像できないほどに広がっていきます。
私は留学を通して常識(カルチャー)は場所によって異なるということを知り、自分のポテンシャルはどこまでも開拓できるということに気づき、キャリアの選択肢が世界に広がりました。大学時代に留学すればよかったという人はたくさんいますが、留学しなければよかったという人はいません。皆さんも海外に留学する数%となり、ご自身の可能性を探訪してみてはいかがでしょうか。