研究者交流

白智立(はく ちりつ・Bai ZhiLi)さん

白智立 (はく ちりつ・Bai ZhiLi)  さん

北京大学政府管理学院教授

院生時代の指導教授・恩師である行政学者の武藤博己先生(2021年、法政大学を定年退職)について日本の地方自治体の行政監査制度を研究するために、2000年度のHIFを応募しました。

2000年にHIF外国人招聘研究員として法政大学で研究したとき、法政大学が提供してくださった優れた研究環境を利用して、主に二つの仕事をこなしました。

一つは、日本の地方自治体の行政監査制度について、武藤先生のご指導の下で多くの資料を入手し、詳細な研究ができました。まとめた論文は法政大学HIF関係者の論文集に載せられ、その後さらに中国語に翻訳し、中国の学会にて報告し、中国語の論文集にも収録されました。

もう一つの仕事は、上述の研究とも関連するが、故・法政大学法学部教授だった太田勝洪先生のお陰で、桜田会の出版助成を獲得し、博士論文を法政大学出版局での出版が可能となりました。博士論文と2000年に完成した日本の地方自治体の行政監査制度の研究成果を整理・修正し、出版社側に提出いたしました。最終的に、著書『日本の行政監察・監査』が翌年の2001年9月に出版され、これはすべて母校法政大学や、武藤先生・太田先生をはじめ法政大関係者のご支援・ご指導の結果です。この機会を利用して改めて心より感謝を申し上げます。本当にありがとうございます。

現在、中国・北京大学政府管理学院にて教員をしています。政府管理学院はいわゆる日本の大学の政治学科ですが、ただし国際関係・国際政治に関しては国際関係学院という学部によって研究され、私どもの学院(学部)の研究領域ではありません。

私が大学で主に学部生向けの「公務員制度」と院生の「比較行政体制特殊研究」二科目を担当していますが、さらにMPA(日本の公共政策大学院に相当)コースのための「論文指導」と「公務員制度と人事行政」といった二科目を担当しています。また2022年からは全学の留学生や香港・マカオ・台湾からの院生の授業である「中国概況」(中国語)の進行を担当するようになっています。その時、しばしば日本人留学生のお名前に触れることができ、大変親しく感じます。

研究に関しては、以前の行政監察の研究から、現在、公務員制度や行政改革の研究に重点を移るようになりました。日本の公務員制度と行政改革を中心に自らの研究スタイルを確立しましたが、中国の変化に刺激され、中国の公務員制度や行政改革も視野に入れて、日中比較の視点、さらに比較行政論の視点から研究するようになりました。『日本の行政監察・監査』についで、『日本行政改革比較研究』と『改革開放以来の中国・国家統治モデルとその改革』といった著書を中国の出版社から出版されました。

2013年夏の法政大学のシンポジウム会場、真ん中が筆者、両側は筆者の恩師たち(右側は武藤博己先生、左側は廣瀬克哉先生)