体験インタビュー

非公開: 2012年度春期国際ボランティア・インターンシップ活動報告 並木 愛
自分の目で世界を見る経験は、
どんな業界でも役立つと思います。
バングラデッシュ
ダッカ
並木 愛
2012年度 法学部 国際政治学科 卒業

活動報告

(1) 活動内容(派遣先、派遣期間を含む)
派遣先:バングラデシュの国際NGO・BRAC(ブラック)
派遣期間:2013年2月3日〜2013年3月4日

BRAC(バングラデシュ農村向上委員会)はバングラデシュの貧困を削減することを目的として1973年に設立され、現在では国内のみならずアフガニスタン、パキスタン、アフリカ諸国でも教育、医療、職業訓練活動を行う世界最大のNGOです。
私は今回、その組織の本部である首都ダッカのオフィスにて約1ヶ月のインターンシップに従事しました。配属された教育課では、10人の職員が低所得者の多く集まる農村地域で初等、中等教育を受ける11〜18歳の女子を対象に、エイズ・人身売買・子供結婚の被害予防のための教材を作成、イベントを企画するなど、子供の教育を通じて国内の社会問題を解決するための活動を行っていました。具体的に私の役目は、3月に行われる女子スポーツ大会のためのポスター作成などの広報活動に携わることです。このイベントは、イスラム国のバングラデシュで比較的保守的とされる農村家庭の女子児童がコミュニティ内の活発な交流を通じて社会に参画するきっかけを得るという、かなり型破りな企画でした。そのため、当初は周囲から相当の反対を受けたと聞きましたが、結果的には職員の予想を超える200人以上の参加者が集まることとなり、社会問題解決という共通の目的に向かって切磋琢磨する職員との仕事は大変やりがいを感じるものでした。

(2) 特筆すべきエピソード
「アジア最貧国のバングラデシュで仕事をしていました」と言うと、厳しい環境でよく…と心配していただくことが多いのですが、実は辛い思いをするということはほとんどありませんでした。むしろ、毎日を楽しんでインターンシップに取り組むことができました。それは、現地の国際機関やJICAで働く日本人の方々をはじめ多くの人に出会い、相談し、励まされ、休日には気晴らしに近くの村へ散策に連れ出してくださるような環境にあったからです。途上国、しかも路上で外国人を滅多に見かけないような小さな国において、同国から集まる日本人とのつながりはとても大切だということを学びました。特に、途上国援助に関心のある人ばかりが集まるその特異な国で得たつながりは今後も大切にしたいです。

(3) 苦労したこと
異文化で仕事をすることがこんなにも困難に溢れていていると身にしみて感じたのは今回の渡航が初めてでした。私は将来途上国支援の分野でキャリアを積みたいため、異国で仕事をするというこの機会を得たことに過度な期待や自信を持っていたところがありました。しかし、現地で学んだことは、“自分の落ち着きをもって仕事をすること”が何よりも重要であるということです。バングラデシュではインフラや社会制度の未発達により、予期せぬ問題に遭遇することも少なくありませんでした。例えば、滞在地のダッカでは、ストライキにより公共交通機関が一時的に停止して仕事場へ行くことができない日や、不衛生な食事や大気汚染で体調を崩すこともありました。幸い、滞在中大きな問題に遭遇することはありませんでしたが、不安定な環境の中でも自らの安全を第一に確保し、落ち着いて仕事をできる状態をつくるよう努力することは、最終的には自分たちの仕事によりインパクトがもたらされる人々の生活向上にもつながることだと思いました。

(4) 身に付いたこと
今回の経験では、“人とのつながり”の大切さを実感する機会に多く恵まれました。私はインターンとして既存の現場に飛び込み、そこでまずぶつかった壁が、自分の役割を明確にすることでした。職場の同僚と密接にコミュニケーションを取り続け、信頼関係を築いてやっと相手からある程度の形にできるような仕事を依頼されるという状態だったので、何も自分から行動を起こさずに受け身の姿勢を保っていては、何の進歩もなかっただろうと思います。特に心がけていた点としては、同僚への挨拶や仕事の進捗状況の報告など、とても基本的なことでしたが、このような周囲との小さなつながりを重ねていくことは、チームの中で責任の伴う仕事を行う際にとても重要だということを学びました。

(5) 今回の経験を通じて感じる「グローバル人材」像とは
“相手のことを理解する心を持ち、自分の芯を持って積極的に行動できる人”だと思います。国際的なフィールドで活動する中で何より大切なことは、もちろん語学力もありますが、個人的にはそれ以上に、異文化の中でいかに自分の考えを明確に発信して、環境に順応する力を持つことができるかということだと改めて感じました。

(6) 後輩へのメッセージ
このプログラムでは、長期間海外で活動する経験の中から多くの刺激を得ることができるので、社会や自分の生き方について新しい視点を持つきっかけを得ることができるはずです。井の中の蛙だった私もこの経験から多くの新鮮なアイディアを得ることができました。世界に出て、将来の日本や国際社会に良いインパクトを与えられるたくさんの“グローバル人材”が法政大学から誕生することを願っています。