体験インタビュー

卒業生メッセージ 柳下 知慧
グローバルに活動するためには、
自分の枠にとらわれず、すべてを受け入れること
公益社団法人 青年海外協力協会
(神奈川県立地球市民かながわプラザ あーすぷらざ勤務)
柳下 知慧
2006年度 国際文化学部国際文化学科 卒業

オーストラリア留学がすべてのはじまり

私は国際文化学部に入るまで、海外旅行をしたことすらありませんでした。実は、英語もあまり得意ではなかったんです。でも、「広い世界を見て、異なる文化を感じたい」という気持ちがあり、全員に留学の機会がある国際文化学部を選びました。国際文化学部には、海外の文化への関心が強まるような魅力的な講義が多く、私は特にアボリジニに興味を持ちました。
そんな私にとって、「長期SA制度」を使っての半年間の留学は、大きな人生の転機となりました。2年次の秋学期にオーストラリアのモナッシュ大学に留学し、ホームステイを経験したことで、海外に行くこと、生活することに対する恐怖心がまったくなくなったのです。もちろん現地では、アボリジニの文化を存分に肌で感じ、知識を得ることもできました。同じく留学中の他国の学生と過ごす時間も楽しく、「もっとここにいたい!」と感じたほど。“自分の常識とは違う人々”とふれあうことで、他国の文化を学ぶだけではない、本当の意味での国際交流ができたのでしょう。“自分の枠にとらわれず、すべてを一度受け入れる”というのは、グローバルに活動できる人材となるために、とても大切なことだと思います。

“体験しないとわからない”を実感したボランティア

「世界とつながる活動がしたい」という思いは帰国してから一層強くなり、在学中にケニアでのワークキャンプと、ウガンダのボランティアに参加しました。アフリカに行くのも初めてなら、ボランティアも初めて……と、ここでも“初めて”続き。出発前は自分に務まるのかと不安でしたが、経験すればボランティアは難しいことではなく、“誰にでもできること”でした。ゼミの鈴木晶教授に言われた「何事も体験しないとわからない」という言葉に強く共感したのもこのときです。
卒業後は、半年間の旅行社勤務を経て、開発学を学ぶためにイギリスに留学。その後、日本語教師の資格をとって、パラグアイで2年間「日系社会青年ボランティア」に参加しました。「今自分にできることをすぐに行動に移したい」と考えたのです。現地では、日系人の子どもに日本語や日本の文化を教え、教師という仕事の楽しさややりがいを知りました。その一方で、公教育制度があまり整っていない国の現実を知り、悲しくなることもありました。子どもたちに「夢は?」と聞いても、出てくるのは“サッカー選手”くらいのもの。広い世界を知らない子どもは、自由に夢を抱くことすらできないのです。教育の違いによって、将来のビジョンや、心の豊かさにも差が出てしまうことを改めて痛感させられた出来事でした。

子どものアンテナを広げ、可能性を広げられる教師に

教育への関心が強くなり、帰国してからは教員免許取得のために勉強をはじめました。その間も子どもとふれあい続けたいという思いがあり、現在は神奈川県のあーすぷらざで、子ども向けのイベント企画の仕事をしています。そしてこの春からは、念願叶って小学校の教師に。他の人よりちょっと遅い“先生1年生”ですが、これまでの私の海外経験は、子どもの目を世界に向けさせるのに役立つと思います。
私が法政大学で将来の可能性を広げてもらったように、子どものアンテナを広げ、豊かな人生を送る助けになるような教師になりたいです。